vol.449 海で日焼け止めが使えない!?
海にも人にも優しい「リーフセーフ」な日焼け止め

column

2024.08.21

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夏の今の時期、海に行かれる方は多いのではないでしょうか?
そこで気になるのが紫外線。
ほとんどの方が日焼け止めを使われているはず。
お店の棚に並ぶ数え切れない商品がありますが、皆さんは日焼け止めを選ぶ際、何を基準に選んでいますか?
紫外線対策効果が高いもの、肌に優しいもの、ウォータープルーフなど、その商品ごとに特徴があります。

ただ、近年では、この日焼け止めの使用を規制している国があることをご存知でしょうか?
なぜ日焼け止めの使用が規制されているのか、全ての日焼け止めが禁止なのか、詳しく見ていきましょう。

世界の海で日焼け止めが禁止されている!?

ハワイ州では、2021年1月1日から、サンゴ礁への有害性が指摘されている成分を含んだ日焼け止めの販売・持ち込み・使用禁止を法律で定めています。また、すべての化学物質を排除したミネラルサンスクリーンの使用を推奨しています。

ハワイだけでなく、パラオでも2020年1月1日から「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」を含む10種類の化学物質を使用した日焼け止めが禁止、タイでも2021年8月から国立公園での「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」を含む4種類の化学物質が使用されている日焼け止めの持ち込みや使用が禁止され始めています。

禁止されている背景

近年、日焼け止めに含まれる化学物質が、海洋生態系に致命的な影響を与えることが証明されてきています。
2015年には、非営利団体Haereticus Environmental Laboratoryの調査により、毎日2000人以上のスイマーを集めるオアフ島のサンゴ礁に、毎日平均で約186kgの日焼け止めが沈着することが判明しました。

具体的に海洋生態系に影響を 与える物質は、UVカット成分で紫外線吸収剤にあたる「オキシベンゾン」「オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)」、防腐剤である「メチルパラベン」「フェノキシエタノール」などが挙げられます。
※他の成分も禁止されているものがあるので、国を訪れる前に確認してください

これらの成分がたとえ少量であっても海に流出することで、サンゴ礁の白化現象や海洋生物の遺伝子損傷を引き起こし、最終的には死滅につながると言われています。
毎年推定14,000トンもの日焼け止めが世界中の海に流れ込んでいるのが現状。ハワイだけでなく、カリブ海領域でも大きな被害が出ています。

こういったサンゴ礁への影響は世界だけでなく、日本でも沖縄の石垣島と西表島の間に広がる国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」(せきせいしょうこ)で2016年に半分以上が死滅、97%の白化が起こっています。
今後、2030年までに世界のサンゴ礁の90%が機能的に絶滅するとも言われており、その原因の1つがこの日焼け止めの物質なのです。

また、通常の日焼け止めに含まれる科学成分はサンゴだけでなく、イルカ、魚、ウニ、エビ、貝、藻類などあらゆる海の生き物に悪影響を及ぼします。

サンゴ礁が無くなるとどうなるの?

サンゴ礁が海から消えてしまうと、サンゴ礁に頼って生きている小魚は生きていけなくなります。
すると小魚を食べる中型の魚が生きていけなくなって、さらに大型の魚も消えてしまうことにつながります。
その結果、最終的には私たち陸の生物の食生活にも大きく影響してくるのです。

サンゴにも肌にも優しい「リーフセーフ」な日焼け止めを選ぼう

リーフセーフのリーフは、サンゴ礁や岩礁の「礁」を意味するReef。セーフは安全を意味するSafe。つまり、サンゴ礁など海の環境に優しいことを表します。

「リーフフレンドリー」「ビーチフレンドリー」「オーシャンフレンドリー」と呼ばれることもあります。
ただし、これらの表記は、一般的には法律で制限されていないため、根拠なく使用されている場合があるので、注意しましょう。
日焼け止めを選ぶときは以下の内容を確認して選ぶことがおすすめです。

紫外線吸収剤が不使用

重要なのは、紫外線吸収剤が不使用であることです。サンゴ礁や水質汚染へ影響を及ぼす「オキシベンソン」や「オクチノキサート」などの紫外線吸収剤が使われていないか確認しましょう。
成分表示に「紫外線吸収剤不使用」と記載されているものは、これらの有害物質が含まれていないので安心です。

ノンケミカルで天然由来成分100%・ミネラルベースの製品

紫外線吸収剤だけでなく、鉱物油や合成香料など他の化学物質も一切使用していないミネラルベースの日焼け止めも多く販売されています。
「ノンケミカル」「ケミカルフリー」「天然由来成分100%」と書いてあるものを選ぶと良いでしょう。
天然由来成分100%の日焼け止めはクレンジング剤不要で、石けんで落とせるタイプが多いのも良いところです。

ナノ粒子が使用されていない製品

「ナノ」粒子が含まれる製品も避けた方が良いです。 成分もさることながら、含まれている粒子の大きさも重要です。
ナノ粒子は非常に細かく、サンゴに吸収される可能性が高いと言われています。粒子が大きい日焼け止めは海に流れてもサンゴが誤って吸収してしまう心配が減るので、「ナノ粒子不使用」との表記がされた日焼け止めを選択するのがいいでしょう。

スプレータイプの日焼け止めは避ける

スプレータイプのものは、噴射した際に肌にかからなかったものは、砂に落ちてしまい、海に簡単に侵入してしまいます。
スプレーではなく、直接手にとって塗るタイプのものがおすすめです。

サンゴ礁が白化すると海洋生物など海の生態系が崩れてしまい、地球環境にとって大きな影響があります。
それだけではなく、魚を食べる私たち人にもその影響は大きいです。
日本では規制がないのが現状ですが、規制がないならいいやと思わずに、海で遊ぶ際はぜひリーフセーフの日焼け止めを使いましょう!

リーフセーフ処方の日焼け止めにはノンケミカル、オーガニック処方など海だけでなく、人の肌のことを考えた製品がたくさんあるので、ぜひお好みのものを見つけてみてください。

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参考
https://www.palau.emb-japan.go.jp/itpr_ja/b_000265.html
https://ideasforgood.jp/2024/07/08/sunscreen/
https://ideasforgood.jp/2018/05/21/hawaii-to-ban-harmful-sunscreen/
https://mygreengrowers.com/blog/sustainable-sunscreen/
https://news.stanford.edu/stories/2022/05/coral-killing-sunscreens
https://ideasforgood.jp/2019/07/03/reef-sunscreen/
https://www.bbc.com/japanese/43999839
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46068299
https://www.thailandtravel.or.jp/news/93760/
https://www.allhawaii.jp/article/4351/
https://toreru.com/f/sdgs-04-sango
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC30A040Q3A630C2000000/#:~:text=%E6%97%A5%E7%84%BC%E3%81%91%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9,%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82
https://linkwith-sdgs.com/sdgsaction/2480-2/
https://brand.taisho.co.jp/coppertone/environment/column1/
https://oceana.ne.jp/oversea/102405#google_vignette

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