
前回、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の背景や課題をみてきました。
さまざまな課題が絡み合っているので、解決すべきことが多くあります。
住み続けられるまちとは、どういったものでしょうか。
この目標を解決するための対策についてみていきましょう。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の内容と課題
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」は、持続可能な都市と地域コミュニティの構築を目指しています。安全で包括的な公共空間の整備や基本的なサービス(住宅、水、衛生、エネルギー、交通など)の提供を通じ、住民が健康的で快適な生活を送れるよう促進します。都市の強靭性を高め、災害への備えも重視し、対処・復活がすぐにできる社会を目指しています。
同時に、地域の文化的な遺産や多様性を尊重し、保存するための取り組みも推進。目標11は、人々が住み続けたいと感じる、安全で持続可能なまちづくりを推進することで、地域社会全体の発展と質の高い生活の向上を目指しています。
その背景には、都市部への人口増加やスラム街の増加、環境問題など様々な課題があります。

解決するための世界の取り組み
世界ではこの課題を解決 するために、どのような取り組みがなされているのでしょうか。ここではいくつかの国の事例をご紹介します。ここに記載していない国や地域でも多くの取り組みがされているので、気になる方は調べてみてください。
フランスの過疎化対策
フランスでは、18世紀半ばの産業革命に伴う工業化によって、農村から都市へ移り住む人が増えています。都市部に企業が集積しており、就職のために多くの若者が流入している状況です。
都市へ人口が集中する一方、農村部では過疎化がみられるようになり、1962年から1975年にかけては孤立農村で11万人以上の人口減少が起こっています。
この対策として、地域活性化区域「ZRR(厳しい困難に直面し、脆くなっている地域)」に企業を設立した場合、所得税又は法人税の5年間の免除及び免除終了後から最長9年間の減税を受けられるという優遇税制を行っています。
このおかげで、農村部でも人口増加がみられるようになり、1999年~2007年にかけては約6万人が増えています。
ベルギーの住宅省エネルギー化
ベルギーの首都ブリュッセルは2050年までにカーボンニュートラルを目指しています。排出される温室効果ガスのほぼ半分は建物のエネルギー消費が占めています。
この課題を解決するために、新築物件には省エネ基準「パッシブハウス(※)」が義務付けられ、既存物件には「レノリューション」政策が導入されています。
この政策により、断熱材の追加や改善工事を通じてエネルギー消費を削減することが目指されているのです。
※パッシブハウスとはドイツ発の省エネルギー住宅のこと。世界基準に基づいて建てられており、住み心地のよさを追求した住宅。

アメリカのポートランドが実現している「コンパクトシティ」
ポートランドは「コンパクトシティ」を実現し、住みたいまちとして高評価されています。1979年に導入された「都市成長境界線」により、都市部と自然環境が共存する仕組みを構築。都市部はコンパクトで効率的な生活が可能であり、農地では新鮮な農作物が都市へ供給され大手チェーン店よりも小規模な商店や地元レストランが主流になっています。そして農産物のマーケットも盛んで、地元の食材が広く活用されています。
また、まちは歩行に適したデザインとなっており、「世界一住みたいコンパクトシティ」として知られています。
インドの貧困削減とリサイクル
インドは12億人の人口を抱え、経済発展を進める上でSDGsが重要視されている国の1つです。
政府は「すべての人々が一緒に、あらゆる人のための開発、すべての人々の信頼を」を国家プロジェクトとして掲げ、貧困削減に注力しています。
住居、飲料水、衛生、保健、栄養、教育など多岐にわたって取り組みを進め、成長不良の子どもと妊産婦の死亡率が減少し始めています。また、インドのダラビでは製造業のごみをリサイクルし、材料調達コストやエネルギーコストを低減し、高い収益性を実現しています。
日本の取り組み
北海道函館市の取り組み
函館市は人口減少を解決すべく、「地域経済の活性化と安定した雇用の確保」「北海道新幹線開業後のまちづくりの取り組み」「少子高齢化社会への対応」「持続可能なまちづくり」に力を入れています。
新しい観光区域や経済圏を構築し、新たな産業の創出や企業誘致などを実施しています。また、地域資源の魅力を再発見、または新たな価値などを創出し、新たな資源としてブラッシュアップする取り組みなども積極的に行っています。

農業に力を入れている東京都練馬区
東京都練馬区では、都市化が進んだ今でも、都市農業を重要な産業として位置づけています。都市農園は「農」を知る機会を提供する場所としても機能し、農業体験や観光農園などを 通じて地域交流を促進しています。
同時に、環境にも好影響を与え、ヒートアイランド現象や二酸化炭素排出の抑制、都市河川の洪水対策、堆肥の再利用、災害時の避難場所としての活用などが期待できます。これら都市農園は、気候変動や災害に対する強靭なまちづくり手段として役立っているのです。
資源循環型のまちづくりをしている徳島県上勝町
徳島県の山間に位置する小さなまち、上勝町は、「ゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)」の取り組みで注目を浴びています。この町は2003年に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行いました。
ごみ処理に焦点を当てるのではなく、ごみの発生を最小限に抑えるまちづくりを進めています。家庭ごみは生ごみをコンポストで処理し、その他のごみは住民が45種類以上に分別し、ごみステーションに持ち寄るシステムを採用。その結果、上勝町のリサイクル率は80%以上に達しています。
大手電機会社による公共交通機関のスムーズな運行実施
世界各国の企業や団体などと協力してAI技術や最先端のICT(情報通信技術)を駆使した目標11に関する取り組みを行っています。
例えば、インドを走るバスに高度交通運用管理システム(ITMS)を導入し、安全なキャッシュレス支払い、GPSによるバス定時運行の支援、バスのルートと運航スケジュールの最適化などを可能にしました。
大手電機会社の新交通システムによる排気ガス削減
この会社では、電力駆動や無人運転技術によって完全自動化した新交通システムを開発。これによって、自動車に代わる交通手段として、排気ガスを出さない電力駆動の乗り物や、無人運転技術による交通渋滞の緩和が期待されています。
私たちが日常の中でできること
今の子どもたちも、さらに次の世代も住みやすいまちをつくるために、私たち一人ひとりがどう行動するかが大切になっています。
たとえば、地域活動に参加することで、地域の良さを再発見できたり、近隣の人々ともコミュニケーションをとることで、大きな問題が起こっても対処できるようになります。
災害時の準備をしておくことも大切です。
例えば、家具の固定・食料や飲料の備蓄・非常用バッグの用意・避難場所の確認・防災訓練への参加・安否確認の方法の決定などがあり、すぐに始められるものも多くあります。
また、国土交通省が提供している防災ポータルでは、被害想定や路線情報、災害時に活用できる被害状況や気象状況などがまとめられています。そうした情報を平常時から把握しておくことで、災害時にも落ち着いて命を守る行動ができるようになります。

日本の都市問題はすでに顕在化しており、取り組まなければならない課題が多くあります。
それは誰かが解決してくれる課題ではなく、私たち一人ひとりが解決すべき課題です。一人ひとりの少しずつの行動が、今の日本を、よりよい形で次の世代につないでいくことが可能になります。
ぜひ、日常のできることから始めていきましょう。

参考
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/11-cities/
https://www.ungcjn.org/sdgs/goals/goal11.html
https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/sustainable_cities_sdgs/
https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/sustainable_cities_sdgs/4813/
https://miraii.jp/sdgs-14
https://eleminist.com/sdgs/goal/11
https://sdgs.city.sagamihara.kanagawa.jp/sdgs-17goal/11_sustainable-cities-and-communities/#11-2
https://www.kyowakirin.co.jp/stories/20230620-04/index.html
https://cococolor-earth.com/world-problems-france/
https://miraii.jp/sdgs-28
https://www.yoridori.jp/earth-note/cities/
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