vol.300 陰陽五行の五行は味にも存在する!
食べ物の性質を知る「五味」とは

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2023.01.26

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東洋医学において、陰陽五行という言葉をよく聞きます。
この五行というのは、「木・火・土・金・水」の5つの物質を指し、生活の中でなくてはならないものという考え方。
自然界のあらゆるものをこの5つの物質と結び付けて考えられ、季節や体の臓器などと共に、味にもこの5つの物質に対応させて考えられています。
食べ物をその味の違いによって5つの性質に分類したもので、五味と五臓は深く関係していて、特定の味を体が欲しているときは体のある部分が疲れていたり、弱っていたりするとも言われています。
今回はそんな五味についてまとめていきます。

五味とは

五味とは、文字の通り五つの味を指しています。
その五つの味とは、「酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(かんみ:塩からい)」の5種類。

東洋医学の世界では、酸は肝・胆、苦は心・小腸、甘は脾(ひ)・胃、辛は肺・大腸、鹹は腎(じん)・膀胱に入るとあり、口から入った食べ物は味の違いによってそれぞれ違う臓器に働きかけると言われています。
それぞれの味を見ていきましょう。

「酸味」の作用や特徴

「酸」は五味で酸っぱい味を示し、五行にある「肝臓」「胆」「目」に働きかける食材です。「胆」は、胆嚢と決断に関する働きのことで、少し現代と違っています。「酸」には収斂作用(しゅうれんさよう)と固渋作用(こじゅうさよう)があり、血管や皮膚、筋肉を引き締めたり、下痢や汗、咳を止めるのに効果的です。血液を浄化し、解毒作用があるともされています。摂り過ぎると胃に不調が現れるほか、食欲が落ちたり、体が硬くなります。

「酸」の主な食材

豚肉、レモン、トマト、ザクロ、イチゴ、ミカン、リンゴ、キウイ、ブルーベリー、梅 、米酢、黒酢 など

「苦味」の作用や特徴

「苦」は五味で苦い味を示し、五行にある「心臓」「小腸」「舌」に効くとされます。体内熱を整えたり、利尿作用で体の中の余計な水分を取り除く効果があるので、水毒を防ぎ、消炎作用があります。その一方、摂り過ぎると肺や大腸に不調が現れたり、風邪を引きやすい、体毛が抜けやすいといった症状が出る場合があります。

「苦」の主な食材

魚や豚などの内臓類、セロリ、ゴーヤ、 クワイ、キュウリ、パセリ、フキ、レタス、タケノコ、ミョウガ、銀杏、納豆、緑茶、珈琲、ビールなど苦みの強い酒 など

「甘味」の作用や特徴

「甘」は五味で甘い味を示し、五行にある「脾臓(消化器関連の働き)」「胃」「口」に効くとされ、体力不足を補ったり、滋養強壮に効果的で、虚弱体質の改善や食欲増進、緊張をほぐし体を緩める作用があります。傷みを和らげる働きもあります。摂り過ぎると体にだるさを引き起こす場合もあります。

「甘」の主な食材

なつめ、牛肉、鶏肉、豚肉、卵、もち米、ソバ、黒豆、カボチャ、トウモロコシ 、トマト、タケノコ、山芋、エビ、アジ、キャベツ、サヤエンドウ、しいたけ、ダイコン、ニンジン、牛乳、リンゴ、ブドウ、バナナ、ゴマ、ハチミツ、砂糖 など

「辛味」の作用と特徴

「辛」は五味で辛い味を示し、五行にある「肺」「鼻」「大腸」に効くとされています。「気」の巡りを良くして、体の中にたまった寒さや湿気を排泄し、体を温めたり、発汗を促す働きを持ちます。摂り過ぎると肝臓や目の不調に繋がり、筋肉の攣りを引き起こす場合もあります。

「辛」の主な食材

唐辛子、キンカン、シソ、ショウガ、ネギ、ニンニク、ニラ、胡椒、サンショウ、ワサビ など

「鹹味」の作用と特徴

「鹹」は五味で塩辛い味を示し、五行にある「腎臓(腎臓と、成長や美容を促す働き)」「膀胱」「耳」に効くとされます。「鹹味」は固いものをほぐす作用があるので、便通への効果が有名です。摂り過ぎると血圧が上がったり、小腸や腎の機能を損なう場合があるため加減します。

「鹹」の主な食材

豚肉、タコ、イカ、アサリ、シジミ、アワビ、カニ、牡蠣、昆布、海苔、ヒジキ、味噌、ぬか漬け、塩 など

五味と五臓の関係はバランスが重要

五味は五臓を補う一方で、過剰に摂取すると五臓を弱らせてしまうことがあります。
塩辛いものを食べすぎると腎が弱ってむくみが出たり、甘いものを食べすぎると胃腸障害が起きて口の周りに吹き出物ができます。辛い食べ物の摂りすぎは気管支に悪い影響を与え、咳を誘発したり気管支炎を悪化させることもあります。

どれか1種類だけを多く食べるのではなく、五味のバランスを考えた食事をとることが五臓の調子を整え、健康を維持するとされています。

中国には「医食同源」「食養生」という考え方があり、食材にも薬と同じように身体を治す効果があると考えられていました。
食べる人の体質や体調、食材の性質、季節の特徴などをふまえて食材の組み合わせを考えていくことで、体調を整えやすくなることでしょう。
ぜひ皆さんも、体質に合わせて食材を選んでみましょう。

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