vol.280 飢餓は他の国の問題ではない!?
日本における現状と解決に向けて

column

2022.11.22

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前回はSDGsの第2の目標「飢餓をゼロに」の中で、世界における飢餓の状況や原因をみてきました。
飢餓と一言で言っても、いくつかの原因が複雑に絡み合っている状態です。

もし、あなたが妊娠して出産をするときに、そのような状態だったらどうでしょうか?
もしくは、孫が生まれるときに、そのような社会だったら・・・?
そんな社会を想像してみてください。
今の状況を放置していると、そのような社会になってしまう可能性があるのです。
そのような未来にしないために、多くの国や企業が取り組みを始めています。
今回は私たち日本の現状や各国の取り組みを見ていきましょう。

日本の飢餓の現状

日本でも餓死してしまう人が存在することを知っていますか?
実際には日本でも飢餓問題は年々深刻になっています。
例えば、2020年9月に大阪府で高齢女性が餓死、同居の息子も衰弱して入院というニュースがありました。

厚生労働省の人口動態調査によると、
2003年 栄養不足による餓死者1338人/食糧の不足による餓死者93人
2019年 栄養不足による餓死者1934人/食糧の不足による餓死者23人
食料の不足による死者は減少しているものの栄養不足による餓死者は増えています。

日本において上記のような餓死の割合はとても少ないものですが、リーマンショックや東日本大震災など、経済的困窮者が多く出た年には栄養失調や食糧不足の割合が多くなっていると言われています。

日本における相対的貧困層

また、日本には「相対的貧困層」と呼ばれる貧困層が存在します。

SDGs目標1の「貧困をなくそう」にも関連していますが、相対的貧困層とは収入が国の所得平均の中央値より半分以下の家庭のことを指します。
この相対的貧困層は収入が少ない分、食費を削ったり、栄養価があるものが買えず、知らず知らずの内に飢餓状態に陥っていることがあります。
2018年の段階では、15.4%の割合で、相対的貧困層の世帯がいるとされていました。

日本の場合、飢餓状態に陥る、相対的貧困に陥る原因として、食以外のことにお金をかけるケースが多いからです。食費よりも服や家賃、携帯電話などにお金を掛け、食費を削っているケースが多いとされています。

飢餓をなくすために必要なことは

世界の食糧問題を減らすために必要なこととして以下の2つの方法があります。

① 持続可能な農業
② 食品ロスの削減

それぞれ見ていきましょう。

① 持続可能な農業

途上国の農家が、援助に頼らず自分たちで必要な量の食べ物を生産できるようになることが、飢餓の問題の解決には必要です。
やみくもに農地を広げるのではなく、地球の環境や生態系に配慮しつつ、災害にも強い、持続可能な農業の仕組みを作り出す必要があります。
そのためには、途上国の人々だけでなく、先進国の知恵や経験を活かし技術協力をしながら、安定して収穫ができるようにしていくことが大切。

② 食品ロスの削減

実際、食料は、世界の人口を養えるほど十分な量があります。
前回の記事にも書きましたが、日本では、食べられる食品が年間646万t廃棄されているのが現状です。
1人1人が買い物の前に必要かを考えること、また企業においてもロス が起こりにくいように販売をするなど、それぞれの立場で取り組みを進めなければなりません。

実際に行われている取り組みの事例は

飢餓に終止符を打つべく、世界各国では様々な取り組みが行われています。

世界の取り組み

例えば、国連食糧農業機関FAOは、途上国の貧しい人々が暮らす農村地域で、食糧増産と自立への支援を行っています。
農林水産に関わる問題を解決する「技術協力支援」や紛争や災害などの「緊急復興支援」など、小規模生産者の持続可能な農業を実現させ、食料生産と栄養改善などを促す活動です。

国連WFP(WFP国連世界食糧計画)は、アプリ「SHARE THE MEAL」を通して寄付を募っています。
そこで集められたお金は、ニカラグアをはじめ59カ国、1,730万人の子どもたちの学校給食へ寄付されたり、紛争の影響を受けるシリアの家族へ贈られたりと117の国と地域で、紛争や災害で困窮している人々の命を救うために、食料を提供しています。

ヨーロッパ諸国においては、オンラインショップや卸業にシフトし、レストランやケータリング業者向けに、廃棄食材を用いた製品を販売するなど、廃棄食材を活用したビジネスが増えています。オランダの首都アムステルダムでは、2050年までに循環経済を100%実現するという目標を掲げ、まち全体として廃棄物を出さない仕組みを目指しています。
飲食店や小売店などで売れ残った食料品を安く購入できるアプリ には、ヨーロッパ諸国やアメリカをはじめとして17か国で利用されているものもあります。

日本における取り組み

日本国際飢餓対策機構JIFHは、アフリカやアジアで飢えに苦しんでいる人々を救おうと発足され、貧困や飢餓を撲滅するために支援を募っています。
内戦が続くエチオピア・ティグレ州への食糧支援やモザンビークの若い農夫たちへの 支援など、様々な支援をしています。

先進国と開発途上国の子どもたちが公平に楽しく食事を楽しむというコンセプトで立ち上がった「TABLE FOR TWO」という取り組みもあります。
これは、対象となる食品や商品を購入、サービスを利用することで売り上げの一部が開発途上国に寄付され、学校給食になるというもの。

他にも、地域や自治体が主体で、「子ども食堂」も活発に行われていたり、
日本で培った稲作技術を活かし、各地域に適した農業機械の提供を通して、アジア農業の機械化による生産性向上に貢献している農業機械メーカーもあります。
レインフォレスト・アライアンス認証の取得支援をはじめ、スリランカの紅茶農園を長期的に支援し、生産地の支援をしている企業なども。

このように、世界中で各方面から飢餓に対して取り組みがされてきています。
何から始めたらいいかわからない、私にできるかわからない、という方は上記の様な取り組みをしているNPOやNGOへ寄付をすることからでも構いません。
食べるものを見直し、食品ロスをしないように気を付けることもできることでしょう。
飢餓はどこか世界の遠い国のこと、で終わらせられなくなってきています。
1人1人の少しずつの分かち合いで救われる人が大勢います。
まずはできることからはじめていきましょう。

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参考
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/2-hunger/
https://sdgs.edutown.jp/info/goals/goals-2.html
https://spaceshipearth.jp/sdgs2/#1
https://sdgs-support.or.jp/journal/goal_02/
https://gooddo.jp/magazine/hunger/children_hunger/
https://ethicame.com/shop/information/SDGs25
https://miraii.jp/sdgs-5
https://gooddo.jp/magazine/hunger/children_hunger/557/
https://spaceshipearth.jp/sdgs2/

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