vol.248 未来の海を守るためのエコラベルとは?
魚の選び方と「サステナブル・シーフード」

column

2022.08.04

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近年、「●●の漁獲量が減っている」なんてニュースを目にしたことはありませんか?
そのような日本の食文化を脅かすニュースを目にはするものの、お寿司屋に行ってもマグロは廻り続けているし、丑の日には多くの人がウナギを食べる。スーパーにも普通に魚は並んでいて、本当に数が減っていると実感をする人はもしかすると少ないかもしれません。

新鮮で安全な魚は私たちの生活に欠かせないものです。
現在、日本の水産資源は減少傾向にあり、漁業そのものも衰退しつつあります。今、世界の海で何が起こっているか。未来の海を守るための取り組みとして、「サステナブル・シーフード」という言葉が広がりつつあります。今、海を守るためにどのような取り組みが行われているか、ご紹介しましょう。

サステナブル・シーフードとは?

「サステナブル・シーフード」とは、持続可能な漁業・水産業で獲られた魚介類で作られた食べ物のこと。
それを証明する海のエコラベルとして、【MSC認証】や【ASC認証】という2種類の国際的な認証システムが生まれました。

【MSC認証】と【ASC認証】の違い

2種類の認証はどう違うのか、というと「天然」と「養殖」の違いです。
MSC認証が水産資源と環境に配慮した漁業で獲られた天然の水産物、ASC認証が環境と社会への影響を最小限にして育てられた養殖の水産物を指しています。

サステナブル・シーフードが言われるようになった背景は

なぜ、近年になって魚の保全がいわれるようになってきたのでしょうか。

魚を食べる量が増加している

実は世界中で海にいる魚介類は減少傾向にあります。
WWF調べによると年々魚の消費量が増え続けています。
最近では世界中で魚の需要は増え、また内陸でこれまで魚を食べていなかった人たちも買えるようになったということがあります。
このように一人当たりの魚の消費量は増えていることに加え、世界の人口も増加傾向。
このようなことを考えると、1961年から60年の間で5倍の需要となり、1人あたりの魚の年間消費量は、過去50年で2倍以上になっています。

漁業の技術の進歩

魚を食べる量が増えていることに加えて、漁業の技術の進歩も大きな理由の一つ。 昔は一本釣りだったのが、漁業の進歩により、まとめて獲れるようになりました。そのことで、魚を獲りすぎる「乱獲」につながっているケースもあります。
例えば、網でまとめて獲ったときに、獲りたかった魚以外も一緒に獲れた場合、その魚を海に戻すのではなく、それにかかる手間や経費を削減するために破棄されるといった ことも起こっています。

また、漁業で影響を受けるのは魚だけではなく、イルカやウミガメも年間何十万頭もが漁業の影響で命をなくしていると言われています。

養殖漁の現状は?

天然の魚の減少に反して、養殖漁は進化していることをご存じでしょうか?

これまで、養殖というと、計画的に生産ができる一方で、養殖場を作るために自然の環境を破壊したり、化学薬品や与えたエサで、周りの海を汚してしまうということがありました。また養殖漁がスタートした当時は、密に育てて病気になったら抗生物質で対処するというようなことが行われていたといいます。

ですが、近年では、病気になる前に対処する様々な工夫が始まっているのです。
例えば、自然環境、地域の生物多様性、生態系の構造と機能の保全、養殖魚の健康と福祉の率先した管理と疾病の伝染リスクの最小化など、こういった点を守った養殖水産物に認証されているのが、ASC認証なのです。

サステナブル・シーフードとSDGs

このように私たちの需要が増えている反面、海の生物たちはすごい勢いでその量が減っていっているのです。

このような海中の背景から、サステナブル・シーフードは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の中の14番目の目標「海の豊かさを守ろう」ということにおいて、水産資源の保全を達成することに有効な方法とされています。

海を守るというと私たちの日常とは一見遠いもののように感じるかもしれません。
ですが、【MSC認証】と【ASC認証】といった認証をされたお魚は実はよくみるとスーパーやコンビニでも扱われ始めています。

私たちが食卓に出すために買い物をするとき、どのようなものを選ぶか。
その一つ一つが世界中の海を守る一歩となります。
今の子供やさらにその先の世代の食卓に魚を守るために、今日の皆さんの選択が大事になります。

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