vol.229 臓器と感情は関係している!?
東洋医学でみる体と心のつながり

column

2022.06.08

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皆さんは、ストレスがたまると健康に悪いということをよく耳にすると思います。
東洋医学の世界では、感情と臓器に密接な関係があると言われていることをご存じでしょうか?
東洋医学の考え方における陰陽五行説では、”五臓には感情が宿している”と考えられていて、臓器の不調が負の感情を抱えやすくなったり、無意識のうちに我慢して溜め込みすぎた感情が直接臓器を痛めつけ、様々な身体の不調を引き起こす原因になると考えられてきました。
たとえば、「イライラする」などという怒りの感情は、肝臓に深く関係しています。
今回は、私たちが普段感じている感情と臓器の関係性についてみていこうと思います。

陰陽五行説 で考える感情の関係は?

「陰陽五行説」は、紀元前3000年頃の古代中国の「陰陽論」と紀元前2000年頃の「五行説」の二つの説から成り立ち、できたものです。
宇宙のすべてのものは、二つの陰陽と五つの元素に分けられると考えられています。

五行説と五臓の関係

この中で、五行説とは、「万物は自然界における 木・火・土・金・水の5つの基本物質で構成され、そのバランスのもとに成り立つ」という哲学のことで、身体の機能にも応用がされます。
それが五臓という考え方。“五臓六腑に染みわたる…”の五臓もここからきています。

五臓と聞くと、「肝臓」や「心臓」などの臓器そのものを連想しがちですが、身体のあらゆる”機能“や”役割“また”臓腑“や”部位“をざっくり5つに分けている状態 を表しています。
五臓とはそれぞれ「肝」「心」「脾」「肺」「腎」となります。

五臓と感情の相関関係は?

東洋医学では、感情と内臓は密接なつながりがあり、過剰なストレス、無意識に我慢して溜めこんだ感情など、どの感情も高まり過ぎると内臓に影響し、血の流れやエネルギーの流れを阻害し、病気の原因の一つになりうると考えられてきました。
感情と一言で言っても、その種類は「怒(ど)」、「喜(き)」、「思(し)」、「憂(ゆう)」、「悲(ひ)」、「恐(きょう)」、「驚(きょう)」の七つに分けられています。
そして、それぞれの感情の変化によって、五臓がダメージを受け不調になってしまいます。

「肝」が影響する感情 = 怒

肝は、循環や代謝、排泄、解毒などをコントロールしています。肝臓や胆嚢、自律神経、爪や目、涙なども分類されています。
感情をコントロールする役割もあり、怒りが当てはまります。
怒り過ぎると気が上がりすぎて肝を傷め、肝が弱まっているとイライラして怒りっぽくなります。正義感や責任感が強く、我慢強く弱みを見せられない方はここに注意です。

「心」が影響する感情 = 喜

心は心臓や小腸だけでなく、 舌や汗、脈などから血液循環や脳の働きをコントロールする役割を担っています。
感情は、「喜」に当たり、喜びは気を緩ませますが、気持ちが高ぶった状態が続くと心に負担がかかり、心が痛むと精神が不安定になります。意外かもしれませんが、喜びが強すぎると、興奮状態が続き、眠れなくなるなどの不調につながることがあります。
できれば運動や好きな趣味でストレスを発散するように心がけるといいでしょう。
セロリやセリなどの香味野菜は、「肝」の行き過ぎた働きを落ち着かせるのにおすすめです。

「脾」が影響する感情 = 思

脾は、消化・吸収の働きを担っています。
いろいろ考えることが多かったり、考えすぎて心配になる状態で、脾が弱ると小さなことに思い悩み、思い込みが激しくなって次第に頑固になります。
記憶力や思考力に優れ、情報処理能力も高く、仕事ができる人にこのタイプが多い傾向です。普段の生活で、発汗を促す軽い運動やストレッチで気分転換はおすすめです。

「肺」が影響する感情 = 憂、悲

肺は呼吸をコントロールする役割を担いますが、他にも、水分循環や防衛機能をコントロールし、大腸や気管支、鼻、のど、体毛なども分類されます。
内省的で、共感力が強い方はこの肺を痛めやすく、深い悲しみを抱え続けると気が落ちて憂鬱になり肺が弱まります。肺が弱まると呼吸が浅くなり気持ち が塞ぎ込みやすくなります。
悲しい時は我慢せず、気が済むまで涙を流すことでもストレス解消になります。

「腎」が影響する感情 = 恐、驚 

腎は、生命力を貯蔵する役割があります。他にもそれにまつわる生殖や成長発育、老化もコントロールしているのがこの腎。腎臓や膀胱、脳や骨、骨髄なども分類されます。
感情では、驚いたり、恐怖心が強い時、気が動転したりおびえている人は、このトラブルが起こりやすくなります。恐れは気を下げ、弱まると小さなことに不安を感じやすくなります。
恐い思いを
すると失禁してしまったり、緊張時にトイレが近くなる のもこの腎が影響していると言われています。

ご自身が今抱いていたり普段から抱きやすい気持ちがあれば、その五臓が疲れていたり体質的に弱かったりすることが考えられます。

どの感情を多く持っているにしても、深呼吸をすることや軽く体を動かすことはリフレッシュになります。

ついつい感情にとらわれがちになることもありますが、気持ちは身体の中を流れるエネルギー。どんな感情も人間が生きていく上で、自然に湧いてくる当たり前の感情の変化です。
ネガティブな感情の裏には必ずポジティブな感情が存在しています。まずは自分の内側にある感情に気づき、その感情を紐解くとすごくシンプルな悲しみや寂しさかもしれません。

そんな自分の感情を受け入れていくことで気持ちの変化に対する心の柔軟性がつくでしょう。ご自身の心の声に耳を傾けてみましょう。

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