初夏を感じる6月になるとよく耳にする「夏至」。
夏至は一年で最も日照時間、つまりは昼の時間が長くなる日。
この日から本格的に夏が始まる日とも言えるかもしれません。
四季折々を感じる日本に住みながら、夏至の日の過ごし方や風習などあまり知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、夏至とはどんな日なのか、夏至の意味や風習について紹介していきます。
二十四節気のひとつ、夏至(げし)
夏至とは、二十四節気のひとつ。二十四節気は1年間365日を15日で24分割したもののことをいいます。二十四節気は、中国から伝わった暦で、太陽の動きによって決められ、昔は農作物の種まきや収穫など農業の目安として使われていました。
その中で夏至は、「夏に至る」と書くように、夏の盛りに向かっていく頃で、毎年梅雨が終わりにさしかかる、6月の下旬に当たります。
日にちは例年、6月21日から6月22日となっており、2022年の夏至は、6月21日で2019年は6月22日でした。
この日は、日本を含む北半球で、一年のなかで太陽の南中高度が最も高くなるので、昼の時間(日の出から日の入りまで)が最も長くなるのです。
夏至の反対「冬至」との時間の差は?
昼間が一番長い夏至と反対に、昼の時間が一番短いのが「冬至」。
例年12月22日ごろにやってきます。
夏至と冬至を比べると、福岡では約4時間半、東京で約5時間、北海道根室市では約6時間半も日照時間が長くなります。
日本の夏至の過ごし方
冬至の日には、かぼちゃを食べてゆずのお風呂に入る、春分や秋分にはお墓参りをするという習慣がありますが、夏至の日は、決まった風習はありません。その理由は諸説ありますが、夏至から二十四節気の次の季節半夏生(はんげしょう)までが田植えの時期とされ、農作業の追い込み時期に当たる繁忙期だったため、全国で決まった過ごし方は生まれにくかったそうです。
ただ、各地方によって風習が残っているところがあるのでご紹介します。
関東地方では「もち」を食べる
昔は米と小麦の二毛作をしていた農家が多く、夏至の頃に小麦が収穫されるため、感謝の気持ちを込めて、関東では夏至に新小麦を平べったくした「小麦餅」という焼き餅を食べるという慣習があります。
この小麦餅は別名「半夏生餅」と呼ばれたりもして、夏至の少し後にも食べられてきたそうです。
関西地方では「タコ」を食べる
関西、特に大阪の一部では夏至の日にタコを食べるという風習が残っているそうです。
タコを食べるようになった背景には、タコの8本足のように、しっかり稲が八方に根を張るようにと豊作を祈願していたそうです。
伊勢市にある二見興玉神社の夏至祭り
ほとんど決まったお祭りはない夏至ですが、伊勢神宮に参拝する前に訪れるべきとされる二見興玉(ふたみおきたま)神社では、夏至祭りがあります。
この二見興玉神社がある二見浦は、大小仲良く並んだ夫婦岩がある場所で、伊勢神宮へ参拝する人が身を清める場として知られています。
夏至祭りの日は、太陽のエネルギーが最も溢れる日の出と共に禊をする祭典で、昇る朝日を「日の大神」として拝むのです。
世界の夏至の過ごし方
夏至があるのは、日本だけではなく、世界の他の国では様々な風習があります。
スウェーデンの夏至
日照時間の短い北欧では、昼間が長くなる夏至はとても大切にされ、お祭りを行う国が多いです。中でもスウェーデンでは、夏至祭(ミッドサマー)として夏至のお祝いをします。
長い冬が終わり、夏の到来を祝う行事として、夏至を祝う「ミッドサマーの祝日」は、クリスマスと並ぶ大切な祝日とも言われています。この日、人々はお花を頭に載せて冠にしたり、メイポール(白樺の葉で飾った大きなポール)を作って、大きな広場で踊ったり演奏したりして楽しむそうです。
イギリスの夏至
イギリスでは、巨大な石がつらなる世界遺産「ストーンヘンジ」で、夏至祭と冬至祭が行われます。夏至の時期には、ストーンヘンジの中心にある祭壇石と少し離れたヒールストーンという岩を結ぶ直線に朝日が昇ります。この朝日を見るために、多くの人が集まるのだそう。
古くは、太陽の神であり農耕の神と呼ばれる「天照大御神」が、「日本を最も長く照らしてくれる日」と言われ、お百姓さんが田植えをするときの目安にもなっていた夏至。
太陽の光が一番長く降り注ぐ日であり、ここから「陰」から「陽」へエネルギーが入れ替わる「分岐点」となります。
季節は梅雨でじめじめして天候も変わりやすい時になるので、夏バテを起こしたり、不調も起こりやすいタイミングでもあります。
太陽の光を感じられる日であれば、ぜひ日光浴をして太陽のエネルギーを体に取り込んでみましょう。
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