vol.194 アップサイクルとは?
ゴミを減らすための負荷が少ない新たなリサイクル

column

2022.02.18

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SDGsの取り組みが国内外で高まる中、注目されているのが「アップサイクル」という考え方です。

「リサイクル」によく似ていますが、一体何が違うのでしょうか?廃材をおがくずにして硬め直し、再生木材とするのがリサイクルだとすると、アップサイクルは廃材の素材を活かしたまま別のものに転用することを言います。

たとえば廃材で棚やイス、机を作ったり、カフェの内装に転用する、というのはアップサイクルの例と言えるでしょう。アップサイクルが注目されているのはなぜなのか、詳しく解説します。

アップサイクルとは?注目されている理由

アップサイクルは本来であれば捨てられるはずの廃棄物や不用品に、デザインやアイデアといった新たな価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせることです。
素材をそのまま活かすのが特徴です。廃タイヤからカバンを作ったり、耐用年数が過ぎたソーラーパネルをテーブルとして利用したり、はかなくなったジーンズからバッグを作ったりすることが当てはまります。

一方でリサイクルとは、紙資源を回収してドロドロに溶かしたのち再生紙に加工したり、ペットボトルを回収して繊維や新たなプラ容器として生まれ変わらせるようなものを言います。

アップサイクルはリサイクルと比べると工程が少なく、「原料」に戻しません。そのため負荷が少なく、地球に優しいと言われています。

ダウンサイクルとの違い

ダウンサイクルとは、古着をぞうきん・ふきんとして利用したり、新聞紙で廃油を吸い取ったり、というような、継続性のないリサイクルを言います。

これに対してアップサイクルは、元の価値よりも高い価値のものへ作り変えることで、新たな価値を生み出し、継続性があります。

リユースとの違い

リユースとは、単純に中古品をもう一度使うことです。中古車や中古本を購入したり、反対に中古市場へ売りに出すことがふくまれます。

リユースの場合、古くなっただけでまだ使えることが条件となりますが、もし壊れてしまうとリユースができません。リサイクルの手段を考える必要があるでしょう。

アップサイクルが注目された背景

1980年ころリサイクルという言葉が提唱されてから、すでに数十年が経過しましたが、残念ながら私たちの生活に大きく浸透しているとは言えません。その大きな原因となっているものの一つにリサイクルコストが挙げられます。

リサイクルするときは、上記で少し述べたように、いったん不用品を粉々にするなどして、製品が作られる前の資源の状態に戻します。そして、再度、製品を作るのです。
その過程に費用がかかっています。
そのため、案外リサイクル用品は通常のものより値段が上がりがち。いくら貴重な資源だ、地球に負荷がかかる、と言っても、新品よりもコストがかかるので、消費者も手を出せないケースもあります。

また、同時にリサイクルをする時、廃材に熱を加えて溶かすことがあり、そこにエネルギーも使われているという背景もあります。

リサイクルは最後の手段

つまり、リサイクルは最後の手段であるという考え方が徐々に広まってきています。まずリユースして、それがだめならリペア・リメイク・アップサイクルして、それもできなくなったらダウンサイクルして、最後にリサイクルを考えるという流れが多くなってきました。
この輪が確立することで、環境に優しいサステナブルな未来が実現するでしょう。

アップサイクルの身近な例

アップサイクルは、センスや考え方によってはオシャレでどこにもない新たなものを生み出すことができます。世界中にアップサイクルがたくさんあります。いくつか例をご紹介します。

フライターグ(FREITAG)

1993年、スイスに住むフライターグ兄弟が創業したバッグブランドのフライターグ。
カラフルな表面に英数字が描かれたバッグは有名ですが、バッグの素材には、使い古されたトラックの幌(ほろ)をメインに、肩掛け紐には廃車となった車のシートベルトなどを再利用しています。

横浜赤レンガ倉庫

横浜にある赤レンガ倉庫は、もとは1911年に建てられた国の保税倉庫です。その後、時代とともに流通形態が変化していった結果、1989年に役目を終えました。

再開発が始まるまでは、今でいう「空き家」と変わらない状態でしたが、1992年に横浜市が買い取り、テーマパークとして生まれ変わったのです。

BEAMSとRename

ファッション業界大手のBEAMSでは、売れ残った商品や、アウトレット・訳あり商品のタグを付け替え、Renameとして売り出しています。この際、価格帯も変更することで廃棄品をなくす努力をしています。

こうした取り組みの他、アート作品などでもさまざまなアップサイクルが見受けられます。

アップサイクルを暮らしに取り入れよう!

膝の部分がすり減って穴が空いてしまったデニムを、短パンにして履いたり、バッグやポーチにしたり、着なくなったTシャツをエコバッグにする、飲み物のアルミ缶をカットしてガーデニングに活用する、など日常のちょっとしたことからできることもあります。
また、もしかすると、あなたも意識せず、自然とアップサイクルを行っているかもしれません。
アップサイクルをうまく生活に取り入れて、エコな毎日を送りましょう!

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