現代社会には忙しい人が多くいます。しっかり休んだのになんとなく疲れやだるさが取れない…。 そのせいで仕事の効率も下がりがち。そんなことを感じたことはありませんか?
実はその不調、「脳疲労」が関わっているのかもしれません。
脳疲労とはどのような状態?
脳疲労という言葉をご存知ですか?脳疲労とは、脳が働きすぎている状態が続き、脳に炎症(活性酸素)・疲労を蓄積させてしまった状態です。脳疲労になると脳の働きが低下し、最終的には肥満を引き起こしてしまうと言います。
だれだって自分から好んで肥満になる方はいないでしょう。ダイエットがなかなか成功しなくて悩んでいるなら、もしかしたら脳疲労のせいかもしれません。
脳疲労はストレスへの耐性を下げてしまい、ストレスによりさらに脳が疲労し…という悪循環に陥ることもあります。一度こうした状態になってしまうと、抜け出すのも難しくなってしまいます。「いくら休んでも疲れが取れない」と感じたら、それは脳疲労になっているサインかもしれません。
人はなぜ脳疲労になるのでしょうか?もし脳疲労になってしまったら、どうしたらいいのでしょうか?脳疲労のメカニズムや対策について紹介します。
脳疲労が起こる原因
脳疲労の大きな原因は「情報過多」です。
脳にとっての情報とは、人が見たり聞いたり、匂いをかいだり、感情を動かしたり、何かに触れたり、体を動かしたり、考えたり、といった人の行動すべてです。これらの情報を、脳は2つに分けて処理していきます。
言語・論理・芸術など知的な理性の情報は「大脳新皮質」、食欲や感情、眠たい、心地よい、イライラする、など本能的な情報は「大脳辺縁系」の担当です。
大脳新皮質は知的な情報を処理するため「血流を増やせ」「休むな」と命令を出します。この命令を受けるのは「間脳」の担当です。間脳は「自律神経」を司っていて、大脳新皮質から命令を受けると交感神経を優位にし、体を緊張状態にします。効率よく知的な情報を処理するためです。
一方、大脳辺縁系は本能的な情報を処理するため「食べたい」「寝たい」と命令を出します。間脳は副交感神経を優位にし、体をリラックスさせます。
大脳新皮質・大脳辺縁系・間脳は、それぞれがバランスよくはたらいています。しかし情報過多になると、このバランスが崩れてしまうのです。
情報過多の脳内
たとえば仕事が多くてなかなか休めないと、知的な情報が多くなりすぎてしまいます。常に大脳新皮質ばかりがはたらいている状態です。その間大脳辺縁系には「疲れた」「寝たい」という情報が蓄積していきます。間脳は緊張し続けています。
大脳辺縁系の「疲れた」「寝たい」を処理せず、仕事を続けると、大脳新皮質は次第に処理ができなくなってきて、計算を間違えたり、時間を間違えたり、道を間違えたり、物忘れをしたり…というようなミスを始めます。間脳はずっと緊張状態なので、体には「最近眠れない」「冷や汗が止まらない」「頭痛がおさまらない」などの症状が出てきます。
この状態が長く続くと「脳疲労」になります。大脳辺縁系が大声で「疲れた!」「寝たい!」と訴え、「全然疲れが取れない」「ちゃんと寝ているのに眠い」「食べても食べてもまだ食べたい」などの症状が出てしまうのです。
これは大脳新皮質・大脳辺縁系・間脳のバランスが崩壊しています。脳疲労を解消するには、バランスを取り戻す必要があります。
脳疲労を解消する方法
脳疲労を解消するには、仕事と休息のバランスを取り戻すことが大切。
休んでばかりいても大脳辺縁系が疲労してしまい、「考えたいのにうまく考えられない」「体を動かしたいのにうまく動かせない」といった症状が出ます。土日に寝溜めしても、月曜の朝にうまく切り替えられないのは、このためです。どちらかに偏るのではなく、バランスが重要なのです。
仕事と休息のバランスを保つのに良い方法がいくつかあります。瞑想や呼吸法などは、リラックスしながら集中力を高めるので、休息から仕事に切り替えたいときにおすすめです。
入浴やアロマテラピー、ジョギングや散歩、ストレッチ、ヨガなどの軽い運動をすると、緊張しきった体がほぐれ、体を十分に休息させることができます。睡眠の質が高まり、体を万全な状態に戻してくれるでしょう。
脳疲労を解消するためのカギ「脳の動かし方」
脳疲労を解消するのにカギを握っているのが、脳の動かし方です。
脳は情報を処理するため、①深く考えたり、②浅く考えたり、③ぼんやり考えたりしています。例えば計算問題や、絵を描いたり、何かを作ったり、料理したり…といったとき、脳は深く考えています。
テレビやスマホ、インターネットのニュースを見ているとき、脳は浅く考えています。音楽を聞き流しているときも、浅く考えています。それを誰かと話し合ったりするときは、深く考えています。
ぼーっと音楽を聴いているときは、浅く考えています。散歩しながら花の匂いを感じるとき、浅く考えています。いい曲だなあ、いい匂いだな、という感情も、浅く考えているときです。この曲は誰のなんていう曲だっけ?この部分が特にいいな、この花の季節が来たな、となると、深く考えています。
なにもせずぼんやりしているのが、③のぼんやり考えている状態です。じつはこのぼんやりする状態が、脳疲労を解消するカギになると言われています。
脳の動かし方とは
先に述べた通り、脳はバランスが重要です。この「深く考える」「浅く考える」「ぼんやり考える」も、実はうまくバランスを保っています。
スマホが普及した現在、私たちは「浅く考える」機会がとても多いです。情報に触れるだけで、脳は浅く考えてしまいます。それが記憶に残らないような情報だったとしても、脳は処理しなければならない情報だとして、必ず「浅く考える」のです。
しかし浅く考える情報が多すぎると、浅く考える分野が疲れ、うまくできなくなってきます。浅く考えることができなくなると、物忘れが多くなったり、うっかりミスが増えたり、約束を忘れる、つまらないことに固執する、といった状態を引き起こします。
同様に、深く考える情報が多すぎると、深く考える分野が疲れ、問題が解けない、仕事ができない、イライラする、すぐ泣いてしまう、といった状態になりやすくなります。
ぼんやりすると脳が回復する
実は、このバランスを取り戻すのが「ぼんやり考える」ことなのです。ぼんやりすることで、人は「深く考える情報」「浅く考える情報」を整理し、「食べたい」「寝たい」を制御しています。その間「深く考える機能」「浅く考える機能」は休息し、回復します。
スマホが手から離せない、ついスマホを見てしまう、という人は、脳が疲れているせいで情報整理や感情制御ができなくなっています。ぼんやりすることで脳が正常な状態に戻り、自分に必要なことが見えてくるでしょう。
先ほど、脳疲労を回復するのにおすすめしたい方法をいくつかご紹介しました。これらは脳がぼんやりしやすい行動でもあると気が付くのではないでしょうか。
もしかして脳疲労かも?という心当たりがある方は、これらをうまく組み合わせて、脳疲労を解消するのに役立ててください。
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