近年、卵や乳製品を含めた動物性のものを一切摂らないヴィーガンや、肉や魚を口にしないベジタリアンなど、食事において動物由来のものを避ける人が増えています。
それは食事にとどまらず、ファッションにおいても同様に、毛皮・皮革・ウール・ダウンなど動物素材を避ける動きが広まりつつあります。
その理由の一つには、動物の犠牲があります。動物の犠牲を減らすために、欧米、ヨーロッパ諸国をはじめ、日本でも徐々に関心が高まっている「クルエルティフリー」の製品。
昨今では、衣食に加えて、私たちが普段何気なく使用している、化粧品やバスグッズを始めとする日用品においてもその考え方が広まっています。
今回は「クルエルティフリー」がどういったものか、またヴィーガンとどう違うのかなどをご紹介します。
クルエルティフリーとは?その意味は?
クルエルティフリーとは、文字通りだと「残虐性(cruelty)がない(free)」という意味。
動物保護の観点から、化粧品や日用品の開発・製造・市場進出などにおいて、製品が消費者の手元に届くまでのいかなるフェーズにおいても、動物を傷付けたり、動物実験によって殺したりしていないことを示すビジネスポリシーのことを表しています。
メーカーは自社製品の安全性を動物実験以外の方法で証明し、動物愛護団体に認証されることでクルエルティフリーマークを獲得できます。
クルエルティフリーの基準の認証制度
クルエルティフリーの製品のパッケージにはシンボルとしてウサギのイラストと共に表現される事が多く、複数の動物愛護団体が推奨・認証をしていて、その団体やブランドによってウサギのイラストは様々なパターンが存在しています。
クルエルティフリーの国際的な基準となるものとして代表的な団体の一つに、1898年にイギリスに設立されたクルエルティフリー・インターナショナル(Cruelty Free International)が運営する「リーピング・バニー・プログラム(Leaping Bunny Program)」と呼ばれるものがあります。このプログラムは、化粧品のみならず、トイレタリー製品や家庭用品、クリーニング製品のブランドを対象としています。
クルエルティフリーが生まれた背景
このクルエルティフリーというコンセプトは、どのようなきっかけで誕生したのでしょうか。
今、世の中には非常に多くの日用品や化粧品が溢れています。この市場に流通する 化粧品や日用品は原則として人体への安全性や有用性が確認されているものです。
この安全性や有用性を確認するために、動物実験が行われており、時に動物が命を落としてしまうほどのものもあると言われています。
しかし最近では、「既に人体への安全性が十分に確認されているものがほとんどで、充分に発展した科学の力は信じるに値し、残酷な実験は不要なものだ」と言った声が動物愛護団体だけでなく、セレブやモデル、スタイリストなどからも増えています。
また、人間と他の動物では効果や反応が大きく異なるので、「実験データが意味をなさないのではないか」と主張する専門家や医療関係者の声もあります。
世界のクルエルティフリーの現状
ロンドン出身の「クルエルティフリー美容」のパイオニア的存在のダウディング夫人(Lady Dowding)は、1950年代にコスメブランドを設立し生涯をかけて動物の権利を訴えてきました。
その後を追って、ヨーロッパでは2013年から化粧品の動物実験が禁止になりました。動物実験された製品を販売することも禁止されています。
アメリカのカリフォルニア州では2020年1月より動物実験を行った化粧品の輸入や販売が禁止されています。
そのほか、ニュージーランド、イスラエル、ブラジル、台湾などでも動物実験が 禁止されました。
ヴィーガンとクルエルティフリーの関係は
クルエルティフリーは、動物由来の成分を受け付けないヴィーガンという概念と似ています。
クルエルティフリーとヴィーガンは似たようなものだと思われがちですが別物。
どちらも「動物保護のため」という点は同じだけれど、“何が、動物に対してやさしいのか“という点が違っています。
クルエルティフリーは、上記で記載してきたように、製品を製造するすべての過程において動物実験されていないということ。はちみつ、ビーズワックス、コラーゲン、アルブミンなど、ヴィーガンじゃない成分が入っていても、動物実験されてなければその製品は「クルエルティフリー」となります。
一方、ヴィーガンは植物由来成分のみ使用していること。材料、成分に対して重きを置いているものです。動物実験を行なっていたとしても、成分に動物由来のものが入っていなければ「ヴィーガンコスメ」と表記することができます。
自分が使う日用品やスキンケアグッズで動物を傷つける ことを限りなくゼロにしたい、動物にとことんやさしくなりたいなら、ヴィーガン+クルエルティフリー両方クリアしているものを選ぶことがおすすめ。
ヴィーガン&クルエルティフリー、そして可能な限りサステイナビリティにも配慮されたものを選ぶ人が増えれば、自身はもちろん、地球ももっときれいになり、日用品やコスメの世界ももっと楽しく美しくなることでしょう。
毎日使うものだからこそ、一人ひとりが考えてみましょう。
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