vol.050 知っていると得する！心も体も満たされる「フェアトレード」とは？＜後編＞

前回、「フェアトレード」の歴史や仕組みについて、ご案内しましたが、
今回はそのフェアトレードでよく見かける商品とその背景にあるストーリーを少しご紹介します。

皆様は、フェアトレードの商品を手にするとき、その背景にある国や問題をご存じでしょうか？

フェアトレードを代表するものは？世界が関係してくるのもフェアトレード！

フェアトレードでお馴染みの製品の世界を少し考えてみましょう。

①コーヒー

フェアトレード製品で最も身近なものと言えばコーヒー。
熱帯地域の発展途上国で生産されるコーヒーは、生産されてすぐに買取される訳で無く、生産地から遠く離れたヨーロッパやアメリカで価格が決められています。
そのやりとりを知らない生産者たちは、不当な賃金労働の為、普段の生活もままならず、子供たちは学校へ行かずに両親と一緒に仕事を手伝っています。
このような現状を打破しようと、フェアトレード認証はコーヒーから始まりました。

②紅茶

コーヒーは苦手だけど、紅茶は好き！と言う方も多いのでは？
インドやスリランカ、アフリカなどやはり熱帯地域で生産されています。
中世イギリス貴族社会では紅茶が流行し、その地域を植民地化、そして大英帝国繁栄とつながりました。
紅茶を育てるには良い土壌と良い水が必要。
それらを保つだけでもかなりの労力が必要となり、しかしその労力とはかけ離れた賃金が生産者には支払われていたそう。
しかし、生産者の生活自立と改善を掲げ、フェアトレード認証を受けた紅茶が店頭に並んでいることも増えてきました。

③カカオ

チョコレートやココアの原料のカカオ。
チョコレートの甘さは、疲れた体を癒してくれますし、温かいココアを飲むとほっとしたりしますよね。
世界各国で愛されるチョコレートやココアの原料である苦味のあるカカオ。
その生産地と言えば、コートジボワール、ガーナ等のアフリカ、アジアではインドネシア、南米ではエクアドルやブラジル。
こちらの国々も熱帯国や赤道直下の地域。
世界各国からの受注により、労働力が追いつかず、子供たちが学校へも行かずに労働に従事しています。
また、中には人身売買により、カカオ農園に売られて労働を強いられる子供たちも。
そこでフェアトレードが児童労働を無くす為に、生産者への正当な還元を働きかけています。

④コットン

コットンには私たちも大変お世話になっています。
コットンもアフリカやインド、パキスタンで主に栽培されています。
コットンに関してフェアトレードではオーガニックコットンを奨励されており、農薬に頼らないコットンがほとんど。

日本で購入できるフェアトレード製品

上記以外でもフェアトレード製品は日本でも購入できます。
そのほとんどが海外からの輸入品で、次のようなものがあります。
・香辛料
・切花
・ワイン
・果物
・オイル、シロップ
・はちみつ
・スポーツ用ボール
えっ？これも？と感じられるものもありますよね。一度、探してみてください。

ボールの中でもサッカーボールなんかはパキスタンで、手縫いで作られているとのこと。
工場などで作られるイメージが強いですが、一つ一つ手縫いで作られているのです。

オーガニックとフェアトレードとの関係性

フェアトレード製品を考えていくとオーガニックのものが多いことに気づきます。
両者はものすごく関係性の深いもの。
カカオやコーヒー、茶葉、コットン等これらは植物。
自然の植物が育ち、実をつけ、それが美味しい！心地良い！と思うのは人間だけでなく虫も同じように思うのです。

もともとはその土地の伝統農法で有機栽培を行ってきた生産者たちは、先進国へ販売する中で、新たな生産技術を取り入れました。それは害虫駆除のための農薬散布。
農薬は虫から農作物を守り、生産性を高めるのにすごく効果的。ですが、その中で時には作業をする生産者が 体調を崩してしまうことも…。
そこで生産者の健康面を考えたのもフェアトレード。
生産者の力がなければコーヒーやチョコレートを私たちも楽しむことができなくなるのです。
自然の力で行う生産農法、それはその土地の有機農法であり、自然の力を借り、自然と共存し、自然環境を守ること。
そして、それは生産者の健康面を維持、生産の持続を可能にすることにつながるのです。
フェアトレード製品の根本は生産者が丹精込めて育てあげられた品質の良いものばかり。
生産者が大切に育てたものに少しだけ手を加え、品質を保持しながら加工されるオーガニック製品として商品化されている物もたくさん。
普段口にするものが安全なものだと安心ですし、心も体も喜びますよね。

私たちの生活の中でも関係してくるフェアトレード。
私たちが手にすることで、店頭に並ぶ商品もフェアトレード製品が増え、私たち消費者へも自然と目で見ることができ、そして、また手にすることができるというサイクルが加速します。
商品の購入が、その背景にある生産者への正当な賃金の支払いから児童労働の問題回避、持続可能で自然環境も守りつつ、生産者の生活にも良い結果として結びつくことになります。
フェアトレード製品を手にした時には生産者への投資が自然と考えられることでしょう。
食した時には体も心も喜ぶこと間違いなし！
お買い物の際には、フェアトレード製品を是非選んでみてください。