vol.035 良質な睡眠で生活に最高のパフォーマンスを<前編>

column

2020.10.08

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あなたはしっかり眠れていますか?

朝起きてもまだ眠たい。
朝の通勤電車で寝てしまう。
お昼ご飯を食べて眠くなる。
よく寝たはずなのに、一日中眠たい。
寝たいはずなのに布団に入っても寝付けない。
夜中に何度も目が覚める。

こんな経験はありませんか??
もしかしたら、それは正しい睡眠をとれず睡眠不足になっているのかもしれません。

睡眠の役割とは

そもそも、睡眠がもたらす効果は、脳の休養や回復、記憶の整理・定着、ホルモンバランスの調整、免疫力向上などが分かってきています。

ですが睡眠不足が長引くと、私たちの体はどうなるのでしょう。
以下のようなトラブルのリスクが上がるのです。

・脳にたまる老廃物を除去できず、認知症を招く
・血糖値を下げるホルモンバランスの働きの低下による 糖尿病のリスク
・交感神経が緊張しつづけ、高血圧になる
・精神状態が不安定になり、うつ病になる
・食欲を抑えるホルモンの分泌が減り、食欲を抑えられなくなり太る
・免疫細胞の働きが低下し、風邪やインフルエンザなどにかかりやすい

睡眠不足は、上記のように、体の不調からこころの不調を招く原因になり、結果的に短命になりやすいことが明らかになってきています。
なので、しっかりと睡眠を摂ることはすごく大事!

しっかりと睡眠足りていますか?

もしかすると「睡眠負債」になっているかも

いわゆる「睡眠不足」というと、イメージするのは1日3時間の睡眠の生活ではないでしょうか。
一時は、ショートスリーパーという言葉がはやり、3時間睡眠の人や4時間睡眠の人も多くみられました。
著名人でいうとナポレオンの睡眠時間は1日3時間。
現代人ではイギリス元首相のマーガレット・サッチャーが4時間。
ビル・ゲイツやドナルド・トランプなども、睡眠は1日数時間程度。
このように短時間な睡眠でも平気な人もいますが、ごく一部で、逆に、アインシュタインは、睡眠時間はなんと10時間も摂るタイプと様々分かれています。

そして、1日6時間程度寝て、自分では睡眠に問題はないと思っている人でも、実はわずかに睡眠が足りておらず、その影響がまるで借金(負債)のように蓄積することがわかってきました。
睡眠を研究する専門家たちは、この「蓄積する睡眠不足」を「睡眠負債」と名づけ、対策の重要性を指摘しています。
「睡眠不足」は慢性化すると「睡眠負債」になります。
「不足」と聞くと、少し足りていないだけで、すぐ取り返せるような気がしますが、「負債」となると話は別。
積み重ねれば借金地獄のように首が回らなくなり、簡単に返済はできなくなります。
寝だめとは、睡眠の事前チャージではなく、あくまで後から足りなかった分を補填しているにすぎないのです。

現代人の睡眠不足の割合

平成29年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の平均睡眠時間は6時間未満がなんと約4割。
同調査で「睡眠で休養が十分にとれていない」と答える方もここ数年で右肩上がりに増えています。

そして、この「睡眠負債」が蓄積してくと、ストレスや疲労の影響で生活の質が低下するほか、さまざまな病気のリスクが高まってしまうことがわかってきています。

実は浅い睡眠についての研究ヒストリー

睡眠は、私たちが生きていくうえで欠かすことができません。
実は、睡眠に対する悩みは大昔からあり、平安時代に「病草紙」という絵巻物には不眠症なども描かれているほど。
ですが、人はなぜ眠るのか、睡眠の役割について、実は、まだすべてが解明されたわけではありません。
その役割や重要性が科学的に明らかにされるようになったのは比較的最近のことです。

約100年前、1926年にさかのぼります。
この年、睡眠と覚醒のメカニズムを脳の働きから解き明かす調査結果が発表されました。
やがて睡眠状態・覚醒状態が脳波に反映されることも判明して、その後よく知られている「レム睡眠・ノンレム睡眠」が発見されます。これが1950年代のことです。
でも、その後は医学・生物学や他の神経科学の発展スピードに比べると取り残されていました。
1990年代後半、各睡眠段階において脳のどの部分が働いているのかが明らかになっていきます。そして、脳内に眠気を誘う物質があるのではと、「睡眠物質」を探す研究が注目されつつありました。

レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠には「レム(REM:Rapid Eye Movement)睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があります。

レム睡眠とは

レム睡眠では、脳が活発に働いており、記憶の整理や定着が行われています。
睡眠中に眼球運動が上下左右に速く動いているのが特徴で、夢を見ていることが多い(夢を見ていたことを覚えていることの多い)睡眠のことをいいます。
なので、夢見睡眠とも呼ばれています。

ノンレム睡眠とは

それに対して、「ノンレム睡眠」は脳細胞の活動が低下するので、脳を休ませるための睡眠といえますが、同時に筋肉も弛緩するので身体を休める機能も持っています。

「質のいい睡眠」はこの「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」をバランス良く取ることができているかどうかが大切です。


たまたま忙しい日が続き、2、3日寝不足が続いている程度なら、その後の週末で「清算」できるでしょう。
しかし数週間、あるいはもっと長期にわたって不適切な睡眠量の日が続いてしまっていたら……、返済のめどは簡単にはつきません。
もしあなたが毎週末必ず、平日より2時間以上長く寝てしまう場合は、立派な「睡眠負債」です。
なるべく早めに生活リズムを立て直すことをお勧めします。

次回は、その睡眠の負債を取り除くために、睡眠のポイントとなるタイミングや質を向上させるためにおススメの方法についてご紹介します。

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東京医科大学
http://www.tmu-ph.ac/recovery/01.php
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
スタンフォード式 最高の睡眠 西野精治著

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