世界で猛威を振るう新型コロナウイルス ですが、コロナに限った話ではなく
インフルエンザやノロなど様々なウイルスが存在しています。
ウイルスは大きさや仕組みが細菌と異なるので抗菌薬(抗生剤、抗生物質)が効きません。
そして、細菌の50分の1の大きさでとても小さく、
ヒトの体にウイルスが侵入すると、ヒトの細胞の中に入って自分のコピーを作らせ、
細胞が破裂してたくさんのウイルスが飛び出し、ほかの細胞に入りこみます。
このようにして、ウイルスは増殖していきます。
では、こういったウイルスから自分自身を守るために、
ウイルスに勝てる身体を保ちたいところ。
そのために、大切になるのが、「免疫力」です。
免疫力とは
免疫とは、「疫(病気)を免れる力」のこと。つまり、病気を防いだり、病気を治そうとしたりする働きのことです。インフルエンザのウイルスや病原菌などの体にとっての異物が体内に侵入すると、体の免疫システムが働き、侵入してきた異物から体を守ってくれます。さらに、体内で発生したがん細胞などとも戦ってくれます。
まとめると、「感染からの防衛」、「健康維持と増進」、「老化と病気の予防」が免疫の主な働きです。
ただ、人の免疫力は、20代をピークとして年々低下すると言われています。
免疫力が低下すると、風をひきやすくなったり、アレルギーの症状が悪化したり、がんや肺炎などの生命にかかわる病気を発症する危険性も高まります。
したがって、免疫力を高めることは、健康でいること、しいては「生きること」と密接な関係にあると言えます。
免疫力を高く保つために重要な器官「腸」
この生きる力を司る免疫力を高めるには、身体の中の「腸」がポイントとなります。
人の免疫力の約6~7割は、腸の中で生きています。
つまり、人体において最大の免疫器官が腸なのです。
では、いったいなぜ、腸にこれほどの免疫機能が集中しているのでしょうか。
口から肛門までは、1本の長い「消化管」でつながっています。
腸は、口から食べた食べ物を消化・吸収する場所ですが、外界から体内に入ってきた食品と共にウイルスや病原菌などが侵入してくるリスクが高い場所でもあります。
生命維持に欠かせない栄養素や水分を口から摂取する一方で、同時に病原体も運びこまれます。
そのため、腸の壁の内側には、免疫をつかさどっている免疫細胞が集中しているのです。
この免疫細胞は、口を通して体内に侵入してきた細菌やウイルスの働きを食い止める役割をします。
腸は体の健康を保つための、「栄養素の吸収」と「免疫機能(腸管免疫)」という二つの重要な役割を担っているのです。
免疫力を高めるために
免疫力に腸内が影響しているということは、日常から腸内環境を整えると、免疫機能が高め られるということ!
これらの免疫細胞と深く関わっているのが腸内細菌です。
腸内細菌の種類
腸内には、およそ1000種類、100兆個以上もの腸内細菌がいると言われています。
ヒトの細胞の数が全体で60兆個と言われるので、それをはるかに上回る数の腸内細菌の数ということです。
この腸内細菌が、同じ種類の菌が群生し、まるでお花畑のように腸の壁面を覆って生息していることから、腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれています。
腸内細菌の割合
そして、腸内細菌はその人その人ごとに異なります。腸内フローラの状態は、そのときどきの生活習慣や年齢、ストレスなどによっても影響を受け変化しているのです。
腸内フローラを構成する腸内細菌は大きく分けて3つ。
1つ目が、悪玉菌の侵入や増殖を防いだり、腸の運動を促したり、ヒトの体に有用な働きをする菌「善玉菌」。ビフィズス菌や乳酸菌などがこれに当たります。
2つ目は、腸内の中を腐らせたり、有毒物質を作る菌「悪玉菌」。ブドウ球菌やウェルシュ菌などです。
そして、3つ目が善玉とも悪玉ともいえず、体調が崩れたとき悪玉菌として働く菌「
日和見菌」。大腸菌などです。
わかりやすく言うと、善玉菌がドラえもん、悪玉菌がジャイアン、日和見菌はどちらにもつくスネ夫君のような関係です。
善玉菌が悪玉菌を抑える形で腸内フローラが一定のバランスで維持されていると、健康な状態です。逆に、何らかの原因で悪玉菌が優勢になってしまうと、腸内腐敗が進みアンモニア、フェノール、インドールなど人の健康に有害な物質が増えます。
この理想のバランスは「善玉菌2割:悪玉菌1割:日和見菌7割」です。
善玉菌が多いと免疫力が高まります。
つまり、腸内細菌の働きを良くし、免疫細胞の活性化につながれば、免疫力を高めることになります。
善玉菌を増やして高い免疫力を保つために
まず、栄養バランスの良い食事をすること。そして規則正しく食事をとることで、腸が活発に動き出します。
昔から言われる「まごはやさしい」を意識するとバランスよく摂ることができます。
それとともに、発酵食品を食べること、食物繊維を摂ることがすごく大事。
また、逆に悪玉菌を増やす食事を避けることも大事。
発酵食品を食べる
発酵食品の中には乳酸菌や納豆菌などの善玉菌が多く含まれており、腸内の善玉菌を増やす効果があります。
しかし、発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの中には、胃の中の過酷な環境で死んでしまい、生きたまま腸に届かないものもあります。ですが、乳酸菌などの死骸は、腸に届くと腸内の善玉菌の良いエサになり、善玉菌を増やす手伝いをしてくれるのです。
例)納豆、キムチ、みそ、チーズ、ぬか漬け、酢、ヨーグルト、酒粕、麹
食物繊維を摂る
食物繊維は、腸内で善玉菌のエサとなります。便のもとや腸を刺激して便意につなげる「不溶性食物繊維」と、腸内で水に溶けて有害物質を体外へ排出する「水溶性食物繊維」に分けられます。
便をやわらかくしたい場合は「水溶性」、便の量を増やすことで腸を動かしたい場合は「不溶性」が効果的です。善玉菌の増殖に特に効果的なのは、「水溶性」の食物繊維です。
例)「不溶性食物繊維」ごぼう、玄米、豆類、芋類
「水溶性食物繊維」きのこ類、アスパラガス、かぼちゃ、キャベツ、山芋、納豆、海藻、バナナ
脂肪やたんぱく質のとり過ぎをやめる!
悪玉菌は、腸内環境に悪影響を及ぼします。肉類などの脂肪やたんぱく質は、悪玉菌の格好のエサとなるため、とり過ぎると悪玉菌が増えてしまいます。
東京大学の光岡知足名誉教授は「特に赤身の肉が悪玉菌による腐敗を招く」と言われています。
また、食品中の防腐剤や添加物は腸内細菌を弱らせるという説もあり、これらの成分をあまり使用していない食品を選ぶと良いかもしれません。
人が健康に生きるためのシステムが免疫。
免疫力を一言であらわすならば、「生きる力」。
ぜひ、日ごろの食事で腸内細菌を整え、ウイルスの脅威に負けない元気な身体を保っていきましょう。
すべてを通してオーガニックならではの心地よさを実感していただけます。
引用:「世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術」アイザック・H・ジョーンズ (著), 白澤 卓二 (監修)
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